ヨシフ・イヴァノヴィチ (1845-1902)
Iosif Ivanovici
ヨシフ・イヴァノヴィチ(ルーマニア語: Iosif Ivanovici, 1845年 ティミショアラ - 1902年9月28日 ブクレシュティ)はルーマニアの作曲家・指揮者で、ガラツィとブクレシュティの軍楽隊の隊長である。イオン・イヴァノヴィチ(Ion Ivanovici)とも。
ティミショアラに生まれる。彼はワルツ、ファンファーレ、行進曲や民謡に基づく作品などおよそ350の作品を残し、パリ万博では作曲賞を受賞したほどである。
現在はその作品の多くは忘れられ、1880年に作曲したワルツ《ドナウ川のさざなみ Valurile Dunării》のみが盛んに演奏されている(他にルーマニア王妃エリサベタの筆名を題名としたワルツ《カルメン・シルヴァ Carmen Sylva》が極稀に演奏される)。《ドナウ川のさざなみ》は、その哀愁を帯びた旋律、オーケストレーションの見事さなどから、東欧の作曲家のワルツ作品としては突出して有名な彼の傑作である。
《ドナウ川のさざなみ》は同じころ活躍していたヨハン・シュトラウス2世の作品《美しく青きドナウ》とはまったく表情が違い、《美しく青きドナウ》が優雅で明るい曲であるのに対し、《ドナウ川のさざなみ》は感傷的でロマンチックな曲である。そのような理由からかこの曲は、日本人の心に訴えるものがあるのか、「月は霞む春の夜」という歌詞がつけられて歌われるほど日本では人気がある。また、当時の軍楽隊のレパートリーにされていたという。アメリカでも歌詞がつけられ、《アニヴァーサリー・ソング》として親しまれている。
《ドナウ川のさざなみ》は映画にも多く使われている。その例に《野良犬》、《ジョルスン物語》、《パパは出張中!》などがある。彼がこの曲を作曲した時期はルーマニアが独立を認められた時期である。なお、彼には長調と短調を組み合わせてワルツを作る傾向があったといわれる。
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